DNAR用紙と終末期

そういえば、先日師長さんとDNARの用紙について話しました。

師長さんも看護師側のDNARに対する間違った理解があることについては問題に思っており、そこを差し置いて紙によるDNARを取得してしまうことで、適切な救命をされるべき患者に処置がされなくなることについては懸念がある。その一方で、管理者として病院が守らなければいけないルールに乗っ取って発言しなくてはいけないアンビバレンスな状態で、非常に悩んでいました。

倫理的な問題を含む難しい問題で、シンプルに解決できる方法があるとは思いませんが、一つ個人的に気になったのはカルテ内のDNARの紙が”終末期”の患者を対象としたものであるということです。

終末期の患者の定義についても一応解説がありましたが、個々の症例について、「複数の医師」が終末期と判断することが望ましい、としていました。僕たちも判断に苦慮しますが、少なくとも総合診療科で診る患者の多くは”終末期”ではないのではないかと思います。

認知機能低下がほとんどない、もしくは軽度な90代の高齢者の入院なんてザラですし、そういった方に終末期の患者対象のDNAR用紙を使うのは違和感があります。

但し、本人の考え方で心臓マッサージを含む心肺停止時に行われる処置を望まない方も当然いらっしゃって、その方たちの希望を叶えるために、DNARの用紙を使わずに心停止時DNARを表明することはあり得ることなのではないかと思いました。

なので、今後総合診療科としてできることは自分たちの中で終末期と考える患者を複数医師で議論し、その患者については用紙を用いて説明をして用紙を取得する。

そうでない患者についてはこれまで通りカルテ内・継続指示のところに心停止時DNARを記載することではないかと考えました。